訪問診療

 訪問診療で施設やご家庭で健康管理をさせていただいている高齢者の方々の間で占める認知症の割合は決して低くはありません。脳卒中の急性期から慢性期にかけて一貫して当院では患者様と共に歩んでまいりました。おかげをもちまして、

脳外科でありながら数多くの疾患を学ばせていただきました。かつては脳卒中の患者様、特に手術後の患者様の内科的管理は脳外科医にすべて委ねられた時代もありました。そのおかげで大学で学んださまざまな疾患を目の当たりに体験し、治療に携わる機会を与えられました。

 実は、脳神経外科の医局に入ったばかりの時に、自分の進むべき道は総合医療だと示してくださった恩師がいます。函館脳神経セントラルクリニックの開設者である、故松崎隆幸先生です。入局早々に集中治療室で寝たきりになっている患者様を松崎先生と夜を徹して議論しながら治療する中で、全人的医療という概念を教えてくださいました。脳神経外科医の中でも異質な存在の先生でしたが、その先生のおかげで総合医療にかけては自信を持って意識のない患者様にも対応できる医者に育てていただきました。不肖な弟子でした。何もお礼もできないまま、先生は急逝されてしまいました。

 ゴッドハンドでもない医者の単独開業を先輩医師に心配されながら幸いにも小樽で開業し、CTスキャンやMRIなど高度医療まがいの機器を導入して診療に取り組んできたおかげで、頭の検査もできる総合家庭医という、理想的ともいえる総合医療ができる環境を与えられました。

 現在では、こうした特長を生かして、認知症の専門的診断治療も行える、在宅医療ドクターとしても活躍させていただいております。

 認知症疾患医療センターのページにも書きましたが、介護スタッフ向けのテキストを作成しました。それをもとに研修会を企画しています。3密を避けるため、小規模の研修会を中心に進めていく予定で作業は進んでいます。

 現時点では、市内で2つの研修会が決まりました。いろいろなところから、町内会でも、一施設でも、はたまた市内に限ることなく、どこからでも呼んでいただけたら積極的にお邪魔いたします。

 作成したテキストは PDF でご提供いたします。ダウンロードしてご覧ください。ご興味がある方は個人でも施設や団体でも、職種の是非は問いません。100ページに及ぶ内容なので、約5MBになります。ご感想やご意見をいただけたらとてもうれしいです。(井の中の蛙の町医者ですが、皆様からお声がかかるのを楽しみにしています。どうぞよろしく)

2020.10.10 島田 孝