「ホットドッグ頭痛」について

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  • 投稿の最終変更日:2016年9月14日

普段、外来診療で、「ホットドッグ頭痛」について深く考えたことがなかった私のところに、以下のようなメールが届いていたのですが・・・
「千葉県在住の女性:
お問合せ内容: ホットドック頭痛を検索していてら、たまたまこちらのページに行き当たりました。
日本で使われている亜硝酸ナトリウムの量では心配ないので安心して食べて大丈夫ですとの事ですが、娘は日本でのホットドック頭痛持ちに間違いないと思います。但し、摂取してから24時間位経過してからの発症です。
季節の変わり目、寝不足、寝すぎ、精神的緊張、等があった時に発症する事もありましたが、それらの食品を一切さけてからは徐々に起こさなくなりました。ただ、気付かずに摂取すると翌日起きます。
今回娘に発症させた原因は外食のパスタでした。こちらの会社に協力していただいて、トマトソースに亜硝酸ナトリウムが添加されている事がわかりました。
 という事は、ピザ、リゾット、ハンバーガー等に加工肉が入ってなくても摂取するかもということで、思いの外、普段からの蓄積もあったのかも?
何れにしても、国内の食品でも激しいホットドック頭痛を起こす人もいます。 娘のようにたまたま原因物質に気付くまで何年も悩まされる方がいるかもしれません。
起こさなくてすむ方法(治療?)が一日でも早く見つかることを願っています。
亜硝酸ナトリウムを使用禁止にしてくれるのが一番なのですが… 」
 これは大変、と思いすぐさまメールをくださった方に返信しまして、メールの本文の一部を使わせていただきたい旨とこの件について改めて記事を掲載したいので時間をいただきたいとお伝えしました。
 ○○様、長らくお待たせしてしまいましたが、いろいろ調べた結果と拙い頭で考え抜いた個人的見解をお伝えしたいと思います。

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認知症高齢者の運転について

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  • 投稿の最終変更日:2015年11月28日

いつも気を付けて診療していたつもりでした・・・
初診や通院中の人やご家族に声をかけて、自動車の運転をしていないか確認してくれるよう、スタッフにも注意していました・・・
それでも、見落としました!
まさか、ご本人が運転して受診していたとは思いもよりませんでした。
奥様がいつもそばについて仲睦まじく診察室に入ってこられていたから、です。
そもそもこの方が認知症外来に来られたきっかけは短期記憶障害です。
何度も何度も同じことを聞くというものです。実行機能障害などはありませんでした。
MMSE(ミニメンタルステート検査、長谷川式テストのようなもの)は21点で、軽症の認知症に入りました。
この検査だけで治療を決めたわけではありませんが、この時からアリセプトの服用が開始となりました。
 それから約半年が経過して奥様から「最近物忘れがひどくなった」と報告がありました。事情を聞いたら、奥様が用事を済ませている間にすぐそばの薬局で薬を作ってもらえば済むものを、わざわざ車で家の近くの薬局まで出かけて戻ってきた、というのです。いつもしていることができなくなった、理解と判断力が低下してきた、ということですが、「わざわざ車で」というのが引っ掛かります。
 「もしかしてご主人は車を運転しているのですか?」と質問したところ、質問の意図が分からないというように奥様は「はい」と答えます。「え、ご主人は認知症の治療中ですよ」、「はい、でも、まだそんなに悪くはなっていないと思ってましたから」、「最近の事故のニュースでも、いろいろ取り上げられてますよね」、「はい、でも、そばで指示してあげたら問題なくできるので」、「でも、認知症のご主人が仮に事故を起こしてもご本人には責任はないですが、奥様と僕は責任を問われるかもしれませんよ、僕から直接ご主人にお話ししましょうか?」、「そうですか、少し時間を下さい、話し合ってみますので」、そう言って帰って行かれました。
 この方を通して、早急に考えなくてはならないいろいろなことが見えてきました。
1.認知症高齢者の運転は、禁止すべきか?
2.誰が「禁止」と伝えるのか?
3.認知症なら全員「運転禁止」なのか、どこで線引きすればよいのか?
4.社会啓蒙はどの部署が行うのか、警察関係か、自治体関係か、医師会関係か、・・・?
1.の質問を投げかけると、誰もが、「そりゃあ、禁止すべきでしょう」というでしょう、特に昨今のニュースを観ている人なら。でも、そんなに簡単ではないのです。現代は車社会です。一家に一台の時代ではなくなっているくらい、車が普及しています。歩いて5分のところでさえ車で行っちゃいます、帰りは買った物で手が塞がるから。買い物はしなくても、運転手の役目で重宝がられている夫もいます。こんなに便利な車と運転手が突然いなくなったらどうしますか?
スーパーで買った物を後で届けてもらうサービス、高齢者向けの無料パスや、タクシーの無料回数券、介護保険による通院サポート、など社会資源の活用が必要です。全国的に網羅できますか?大きな顔するな、なんて気持ちではサービスとは言えないんですよ。
2.はどうでしょうか?「認知症の診断」をした医師が診断書を発行するよう義務付けすればいいんじゃない?「車の運転は禁止する」と上から目線では言いにくいでしょうから、「認知症」と診断書に書かれたら運転は禁止される法規を作ればいい・・・。怖いですね。あそこに行ったら免許証を取り上げられるぞ、みたいな。診断だけならいつものこと、それは報告義務があるのでしょうか?どこに報告したらいいのでしょう?
自己申告? それで、昨今の大事故は未然に防ぐことができたでしょうか?
3.「認知症高齢者の運転事故防止対策」は早急に考えなければなりません。しかし、だからと言って「まずは認知症と診断された高齢者の運転は全面的に禁止しよう」という決断に至って問題はないのでしょうか?
例えば、今回取り上げた認知症の方ですが、奥様は、ご主人がもともとせっかちな性格の人だから両方とも同じチェーンの薬局なので家の近くの店を思い出して行動したんだろうと思っています。しかし、僕は、常識的に考えて病院のそばにある薬局に薬をもらいに行くのが筋だし、奥さんをそこに置いてわざわざ遠くまで運転してまた戻ってくるなんてことはしないと考えるので、これは認知症の症状ととらえるわけです。
過去に運転中の失敗はないと奥様は考えるし、僕はこの状況を知ってしまうと事故があってからでは遅いでしょうと考える。堂々巡りです。法律で決めたことならだれもが納得できる内容とはいいがたいのです。きちんとした線引きを誰かがしなければなりません。誰がやってくれますか?
4.『認知症と診断された方は運転免許証を返上しましょう』みたいなポスターや、パンフレットの作成、早急に取り組まなければならないことですが、どこの管轄なのでしょう?公安委員会は運転免許の更新の時に活躍してくれていますが、一部の高齢者からは嫌われています。
さて、ここからが本題、というか、ブログですので個人的見解だと思って読んでください。

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認知症高齢者の運転について

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  • 投稿の最終変更日:2015年11月24日

いつも気を付けて診療していたつもりでした・・・
初診や通院中の人やご家族に声をかけて、自動車の運転をしていないか確認してくれるよう、スタッフにも注意していました・・・
それでも、見落としました!
まさか、ご本人が運転して受診していたとは思いもよりませんでした。
奥様がいつもそばについて仲睦まじく診察室に入ってこられていたから、です。
そもそもこの方が認知症外来に来られたきっかけは短期記憶障害です。
何度も何度も同じことを聞くというものです。実行機能障害などはありませんでした。
MMSE(ミニメンタルステート検査、長谷川式テストのようなもの)は21点で、軽症の認知症に入りました。
この検査だけで治療を決めたわけではありませんが、この時からアリセプトの服用が開始となりました。
 それから約半年が経過して奥様から「最近物忘れがひどくなった」と報告がありました。事情を聞いたら、奥様が用事を済ませている間にすぐそばの薬局で薬を作ってもらえば済むものを、わざわざ車で家の近くの薬局まで出かけて戻ってきた、というのです。いつもしていることができなくなった、理解と判断力が低下してきた、ということですが、「わざわざ車で」というのが引っ掛かります。
 「もしかしてご主人は車を運転しているのですか?」と質問したところ、質問の意図が分からないというように奥様は「はい」と答えます。「え、ご主人は認知症の治療中ですよ」、「はい、でも、まだそんなに悪くはなっていないと思ってましたから」、「最近の事故のニュースでも、いろいろ取り上げられてますよね」、「はい、でも、そばで指示してあげたら問題なくできるので」、「でも、認知症のご主人が仮に事故を起こしてもご本人には責任はないですが、奥様と僕は責任を問われるかもしれませんよ、僕から直接ご主人にお話ししましょうか?」、「そうですか、少し時間を下さい、話し合ってみますので」、そう言って帰って行かれました。
 この方を通して、早急に考えなくてはならないいろいろなことが見えてきました。
1.認知症高齢者の運転は、禁止すべきか?
2.誰が「禁止」と伝えるのか?
3.認知症なら全員「運転禁止」なのか、どこで線引きすればよいのか?
4.社会啓蒙はどの部署が行うのか、警察関係か、自治体関係か、医師会関係か、・・・?
1.の質問を投げかけると、誰もが、「そりゃあ、禁止すべきでしょう」というでしょう、特に昨今のニュースを観ている人なら。でも、そんなに簡単ではないのです。現代は車社会です。一家に一台の時代ではなくなっているくらい、車が普及しています。歩いて5分のところでさえ車で行っちゃいます、帰りは買った物で手が塞がるから。買い物はしなくても、運転手の役目で重宝がられている夫もいます。こんなに便利な車と運転手が突然いなくなったらどうしますか?
スーパーで買った物を後で届けてもらうサービス、高齢者向けの無料パスや、タクシーの無料回数券、介護保険による通院サポート、など社会資源の活用が必要です。全国的に網羅できますか?大きな顔するな、なんて気持ちではサービスとは言えないんですよ。
2.はどうでしょうか?「認知症の診断」をした医師が診断書を発行するよう義務付けすればいいんじゃない?「車の運転は禁止する」と上から目線では言いにくいでしょうから、「認知症」と診断書に書かれたら運転は禁止される法規を作ればいい・・・。怖いですね。あそこに行ったら免許証を取り上げられるぞ、みたいな。診断だけならいつものこと、それは報告義務があるのでしょうか?どこに報告したらいいのでしょう?
自己申告? それで、昨今の大事故は未然に防ぐことができたでしょうか?
3.「認知症高齢者の運転事故防止対策」は早急に考えなければなりません。しかし、だからと言って「まずは認知症と診断された高齢者の運転は全面的に禁止しよう」という決断に至って問題はないのでしょうか?
例えば、今回取り上げた認知症の方ですが、奥様は、ご主人がもともとせっかちな性格の人だから両方とも同じチェーンの薬局なので家の近くの店を思い出して行動したんだろうと思っています。しかし、僕は、常識的に考えて病院のそばにある薬局に薬をもらいに行くのが筋だし、奥さんをそこに置いてわざわざ遠くまで運転してまた戻ってくるなんてことはしないと考えるので、これは認知症の症状ととらえるわけです。
過去に運転中の失敗はないと奥様は考えるし、僕はこの状況を知ってしまうと事故があってからでは遅いでしょうと考える。堂々巡りです。法律で決めたことならだれもが納得できる内容とはいいがたいのです。きちんとした線引きを誰かがしなければなりません。誰がやってくれますか?
4.『認知症と診断された方は運転免許証を返上しましょう』みたいなポスターや、パンフレットの作成、早急に取り組まなければならないことですが、どこの管轄なのでしょう?公安委員会は運転免許の更新の時に活躍してくれていますが、一部の高齢者からは嫌われています。
さて、ここからが本題、というか、ブログですので個人的見解だと思って読んでください。

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主治医(かかりつけ医)意見書作成に役立つ問診票を

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  • 投稿の最終変更日:2015年11月20日

 先日、某製薬会社の主催で「認知症エリアサミット in 後志」という会に参加させていただきました。
大阪の高槻市にある認知症疾患医療センター長の森本先生のご講演を拝聴し意見交換を行いました。とても、刺激になるお話でした。
この1,2年の間、いろいろと仕事に追われブログの更新もしておりませんでしたが、その間個人的にはとても刺激を受け啓発される方たちとの出会いに恵まれておりました。ここで改めて感謝を申し上げる次第です。
 さて、今回のサミットでは、突然送られてきたかかりつけ医の意見書に翻弄されることが多々あり、その解決策として、「事前に記入してもらったら容易に意見書の記載ができるような問診票」を作ったことがあるというお話に心動かされ、早速このタイトルとなった次第です。
まず最初に、個人的に作ってみた問診票なるものを提示いたします。

(さらに…)

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主治医(かかりつけ医)意見書作成に役立つ問診票を

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 先日、某製薬会社の主催で「認知症エリアサミット in 後志」という会に参加させていただきました。
大阪の高槻市にある認知症疾患医療センター長の森本先生のご講演を拝聴し意見交換を行いました。とても、刺激になるお話でした。
この1,2年の間、いろいろと仕事に追われブログの更新もしておりませんでしたが、その間個人的にはとても刺激を受け啓発される方たちとの出会いに恵まれておりました。ここで改めて感謝を申し上げる次第です。
 さて、今回のサミットでは、突然送られてきたかかりつけ医の意見書に翻弄されることが多々あり、その解決策として、「事前に記入してもらったら容易に意見書の記載ができるような問診票」を作ったことがあるというお話に心動かされ、早速このタイトルとなった次第です。
まず最初に、個人的に作ってみた問診票なるものを提示いたします。
意見書作成のための問診票v1.1.pdf

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認知症について(1) ― 認知症と高次脳機能障害(1) ―

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  • 投稿の最終変更日:2013年1月22日

脳外科なのに、何でも相談に乗れる医者になりたいとがむしゃらにやっていたら、いつの間にか認知症とかかわりが深くなって・・・気が付いたら、もう10年は過ぎたでしょうか。なんだか、あっという間の10年でした。でも楽しい10年でもありました。認知症は未知の世界に見えました。自分が開拓者になることもできる・・・なんて、そんな大それた野望はありませんでしたが、少なくとも、医学の進歩と一緒に歩める喜びみたいなものがありました。
ここでまとめようとしていることは、もしかしたら、「脳外科医なら当たり前のこと」ならぬ「認知症研究者なら当たり前のこと」か、「認知症治療に携わる資格なし」といわれる事柄を延々と書き連ねることになるのかもしれません。どちらの非難も甘んじるつもりです。
なぜなら、これは僕の足跡であり、ここがこれからのスタート地点でもあるからです。
前置きはこのくらいにして、本題に入ります。
スライド2.GIFおよそ脊椎動物の脳(脳胞)の発生学的分類は共通しており、だいたい左の図のような5種類に分類されます。そして、ヒトの脳においては終脳は大脳、間脳は間脳、中脳は脳幹、後脳は小脳、髄脳は延髄に相当します。つまり、脊椎動物にあっては、爬虫類であっても、ヒトであっても、これら5つの脳があるということです。
スライド3.GIF
ところで、みなさんはこのようなイラストを見たことはありませんか?
理性脳(新哺乳類脳)
情動脳(旧哺乳類脳)
反射脳(爬虫類脳)
 
この図で誤解されやすいのは、爬虫類以下の脊椎動物には大脳がないように見えるところです。
しかし、脊椎動物には皆同じ脳の発生があるのです。つまり終脳と呼ばれる脳は爬虫類でも存在しているのです。ただ、発達の度合いがそれぞれ違うだけです。
スライド4.GIFスライド5.GIFスライド6.GIFスライド7.GIF
このように、どの脊椎動物にも終脳までの脳の発達がありますし、同じ哺乳動物でさえも、終脳の発達の度合いは種によって異なっていることがわかります。脳は、それぞれの動物の種類にとって、より重要な中枢がある部位をより前方に移動させて大きく発達させてきたのです。(ヒトの脳では、特に前頭葉が前方に大きく張り出していて、この部分がより重要な中枢であることがわかります。)
 爬虫類では、心拍、呼吸、血圧、体温などを調整する基本的な生命維持の機能をつかさどり、種の保存というよりも自己保全の目的の為に機能する脳の構造が最優先され、
 イヌやネコなどの哺乳動物の脳では海馬、帯状回、扁桃体といった“大脳辺縁系(limbic system)”が発達しました。これは、個体の生存維持と種の保存に役立つ快・不快の刺激と結びついた本能的情動や感情行動を起こさせる機能と、危険や脅威から逃避する反応や外敵を攻撃する反応を取る原始的な防衛本能をつかさどる脳の構造です。
 そして、ヒトの脳において著しく発達したのは、知能・知性の源泉である新皮質、理性脳です。
ヒトの脳には、この生物の進化の歴史が内蔵されていると説明し、新皮質(neocortex)を理性脳(Rational brain)と表現したのは、Paul D. MacLean という人ですが、これこそが高次脳機能をつかさどる場所というわけです。(注:僕は進化論に賛同するものではありません。念のため)
実は、僕は、高次脳機能障害という用語は知っていますが、高次脳という用語があるのか、高次‐脳機能という用語があるのか、よく知らないのです。
だから、ここでは理性脳を「高次脳機能をつかさどる場所」と表現しておきます。なぜなら、ここの障害こそが高次脳機能障害だからです。
以下に、脳の局在と主な働き、および主な障害名を載せたイラストが続きます。これを読んでくださる方の、脳の解剖についての再確認の、手助けになればと思い掲載しました。同じようなイラストが続きますので、邪魔でしたら一気に飛ばしてくださってかまいません。
スライド15.GIFスライド16.GIFスライド17.GIF
  
スライド18.GIFスライド19.GIFスライド20.GIF   
スライド21.GIFスライド22.GIFスライド23.GIF   
スライド24.GIFスライド25.GIFスライド26.GIF     
スライド27.GIFスライド28.GIFスライド29.GIF     
スライド30.GIFスライド31.GIF          
以前に、認知症のリハビリテーションについて、自分勝手な解釈に基づくリハビリ理論を掲載しまた。そこでの僕の理論は、「認知症のリハビリテーションについての、認知神経科学的根拠に基づく、ターゲット器官は大脳皮質の前頭連合野である」と主張しました。そこに付録として、大脳皮質連合野の働きを簡略化したアニメーションを載せたのですが、多分、ご覧になることは困難だったのではないかと思います。下のイラストは、そのアニメーションを排除したものです。
スライド3.GIF スライド10.GIFこれは視覚や聴覚によって得られた情報を元に情動的行為が検証され、より高次の理性的行為としてプログラムされて、「その人らしい」行動が起こされる様子を簡略化したものです。もちろん、個人的な思考モデルで、科学的な実証はありません。
この「その人らしさ」を産み出しているのは前頭連合野です(どうして個性が生まれるかという問題は細胞のミトコンドリアレベルの話です)が、頭頂連合野、側頭連合野、後頭連合野といったほかの大脳皮質連合野や大脳辺縁系、小脳などとの緊密な連携がなくなれば本来の高度な機能は発令されません。
すなわち、日本でいうところの「高次脳機能障害」というのは、この連携器官が傷害されたり連携が断たれた結果か、もしくは脳の中央執行機関たる前頭連合野自身が傷害された結果起こってくる「認知機能障害」のことを指しています。

(さらに…)

続きを読む認知症について(1) ― 認知症と高次脳機能障害(1) ―