脳神経外科の門をくぐり、総合医療を目指し、認知症と取り組み、在宅医療を率先して実施し、認知症疾患医療センターの指定を受けるまでに至った、この尊い足跡の陰に、故松崎隆幸先生の存在がある。

 先生と出会った当時、「全人的医療」といいう言葉があったかどうかは定かではないが、先生はまさに「全人的医療」の先駆的存在だった。「お前は卒業したばかりで一番知識の量が豊富なんだから、それを全部出しきってこの目の前の患者さんを診なきゃならないんだぞ」と深夜の集中治療室で語られ、朝まで付き合ってくださった。その後も、いわゆる「植物症」の病棟でご一緒させていただき、何年も眠り続けていた青年を目覚めさせたこともあった。

 先生はその後、函館脳神経セントラルクリニックを開業され、函館の地域医療のためにご尽力されたが、志半ばにして急逝された。

 この「I Care 通信」が、なぜ松崎先生をしのぶものなのか、それはおってお話ししたい。(島田)

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