従来は高脂血症と呼ばれ、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれかが高いか、HDLコレステロールが低いことがその診断基準とされていましたが、総コレステロールが高い人のなかには悪玉LDL コレステロールが正常で善玉のHDLコレステロールのみが高い場合も少なからず含まれていることと、そのHDLコレステロールが低い場合を「高脂血症」と呼ぶのは適当でないことなどから、2007年4月に日本動脈硬化学会がガイドラインの改訂を行い、診断名を「高脂血症」から「脂質異常症」に変更しました。
脂質異常症は、LDLコレステロールが140mg/dl以上の「高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロールが40mg/dl未満の「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が150mg/dl以上の「高トリグリセライド血症 (高中性脂肪血症)」のいずれかで、総コレステロールはあくまでも参考値としての記載にとどめ、診断基準から外されました。
総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、についての説明?ここではしません。
ここでは、メタボリックシンドロームについて触れておきましょう。
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上(必須項目)で、かつ、血圧・血糖・脂質の3つ(選択項目)のうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム(略してメタボ)」と診断されますね。
そして3つの選択項目の基準値は、
1. 高トリグリセライド血症 150mg/dL以上
かつ/または
低HDLコレステロール血症 40mg/dL未満
2. 収縮期(最大)血圧 130mmHg以上
かつ/または
拡張期(最小)血圧 85mmHg以上
3. 空腹時高血糖 110mg/dL以上
というふうになっています。
2番目と3番目は、それぞれ高血圧、糖尿病ということがすぐにわかります。
問題は1番目、ここには、2つの状態、つまり高トリグリセライド血症と低HDLコレステロール血症が記載されています。この2つの「血症」は同じもの?、同じでないとしたらなぜ2つを一項目として扱うの?それは、「高脂血症」ではなく「脂質異常症」のことを言っているからですね。
血液検査の結果をドクターから聞いたときに、「あなたはコレステロールが高い、高脂血症!」といわれたことありませんか?あるいは、健康診断の結果報告書には「脂質異常症」と書かれていませんでしたか?コレステロールが高いとか、高脂血症とか、脂質異常症とかの言葉の違いに対する疑問、解決しましたね。 メタボは腹囲が大きいことに加えて、血圧・血糖・脂質のうちの2つ以上が異常値である状態と書いていました。「血圧」は高血圧、「血糖」は高血糖(糖尿病)だから、「脂質」は高脂血症を意味しているのだろう、それなのに、「低」HDLコレステロール血症とはどういうこと?という疑問も「高脂血症ではなく脂質異常症のこと」と考えると解決ですね。