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11. 「特保(トクホ)」で病気の治療ができますか?薬の代わりになりますか?

 本来,特保(特定保健用食品)は健康が気になる人が利用する製品であり、病気の人のために作られたものではありません。平成3年に創設・制度化され、当時は医薬品と区別をするため、明らかな食品の形態をしていることが必須要件でしたが、平成13年からは、錠剤やカプセル状のものも許可されるようになりました。さらに平成17年からは、条件付き特保、規格基準型特保、疾病リスク低減表示の特保といった種類の特保も認められるようになりました(説明は面倒くさいから省略、脳がぐちゃぐちゃになるし)。そこには、「通常の食品には認められていない特定の保健の用途の表示ができる。保健の用途の表示とは、健康の維持・増進に役立つ、または適する旨の表現を指し、医薬品のような病気の治療や治癒に対する効果の表現は認められていない」とありますから、もちろん、通常の食品の代わりとして病気の治療中の人が利用する分には問題にならないと思われます。(「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という文をトクホの容器包装の前面に表示することが義務付けられています。)

 ところがいろいろと調査をしてみると、年齢が高くなるにしたがい、また、病気で受診している人において、特保を治療目的に利用しているらしいことが明らかになりました。 さらに、服用している医薬品と同様の保健機能を謳った製品を利用している人もいることから、消費者が特保に治療効果を期待して利用しているということもわかってきました。その一方で、通院中や入院中で医薬品を服用しているにもかかわらず、「食品だから」「薬ではないから」「治療中の病気と違う目的だから」という理由で、ほとんどの人が特保の利用を医師・薬剤師に伝えていないという実態も明らかになりました。特保は、いわゆる健康食品とは異なり、より通常の食品に近く、かつ、効果を実感できていることからも、医薬品と併用しても特に問題はないのかもしれません。でもでも、です。多くの人が複数の特保製品、複数の医薬品、場合によっては、複数のいわゆる健康食品も併用しているとなると、健康被害が起こってしまった場合にその健康被害(体調不良)との因果関係を特定するのは極めて困難になると思われます。健康被害を未然に防ぐためにも、医薬品と同じ作用機序を有する特保製品を使用する際には、特保がご自分の治療に影響を及ぼすことがないか主治医に相談した方がいいと思います。

参考にした資料:

特定保健用食品と医薬品の併用者に関する実態調査、日本栄養・食糧学会誌  第68巻  第4号  147Ȃ155 (2015)

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