主治医(かかりつけ医)意見書作成に役立つ問診票を

先日、某製薬会社の主催で「認知症エリアサミット in 後志」という会に参加させていただきました。
大阪の高槻市にある認知症疾患医療センター長の森本先生のご講演を拝聴し意見交換を行いました。とても、刺激になるお話でした。
この1,2年の間、いろいろと仕事に追われブログの更新もしておりませんでしたが、その間個人的にはとても刺激を受け啓発される方たちとの出会いに恵まれておりました。ここで改めて感謝を申し上げる次第です。
さて、今回のサミットでは、突然送られてきたかかりつけ医の意見書に翻弄されることが多々あり、その解決策として、「事前に記入してもらったら容易に意見書の記載ができるような問診票」を作ったことがあるというお話に心動かされ、早速このタイトルとなった次第です。
まず最初に、個人的に作ってみた問診票なるものを提示いたします。
意見書作成のための問診票v1.1.pdf


では、この問診票がどのようにかかりつけ医の意見書に活用できるか説明いたします。
といっても、マニュアルが必要な難解なものなら作る必要もご紹介する意味もありません。いたって簡単です。
たとえば、(A)の項目に挙げた17問の質問は、認知症高齢者の日常生活自立度の判定に使われる項目に合わせてあります。
(1)から(3)までのどれかが Yes であれば、認知症高齢者の日常生活自立度(以下、認知症の自立度と略します)は少なくともIIaという意味です。
(4)、(5)のどちらかが Yes なら認知症の自立度はIIb以上に変わります。
(6)から(15)の状態が見え始めると認知症の自立度はIIIまたはIVに入り、それらが日中を中心にみられるときはIIIa、夜間を中心にみられるようになる(16)とIIIbと判定します。(17)は同様の症状で常に目を離せない状態(認知症の自立度IV)にあることを意味します。
続いて2枚目の(B)の項目は、認知症の中核症状と周辺症状についてです。
(1)から(3)は日常の意思決定を行うための認知能力について、(1)はいくらか困難、(2)は見守りが必要、(3)は判断できない、に該当します。
(4)から(6)は自分の意思の伝達能力について、(4)はいくらか困難、(5)は具体的要求に限られる、(6)は伝えられないに該当します。
最後の(7)から(15)までは、認知症の周辺症状を意見書の項目の順に並べています。
いかかでしょうか?
当院でも、新患受付で頭の検査と言って受診され認知症かどうかを聞いて帰られた後に、突然書類が机の上に置かれて慌てふためくことが何度もありました。不足部分を電話で質問したり、もう一度来ていただかなければならないこともありました。防止策として、介護保険の申請や更新の依頼は事前にお知らせくださいと書いてロビーに貼り出しました。
さらに、こんな問診票があれば、忙しい外来のさなかでも少しゆとりをもって笑顔で対応できそうですね。
なんて、うまく活かされたら幸いです。
PDF形式とドキュメント形式のファイルをアップロードしておきます。編集用にお使いください。もっとよくなったら、ぜひメールでご紹介ください。
意見書作成のための問診票v1.1.odt