特別寄稿 2

歯周病対策でコロナ感染予防を  

Oral Credo(オーラルクレド)への期待

2種類の口腔ケア

「歯周病とコロナウイルス感染症の関係」で、歯周病ケアが実はコロナウイルス感染症の予防と重症化回避に重大な要因となりうることをお話ししました。歯周病ケアといえばだれもが口をそろえて発する言葉は、「口腔ケア」ですが、口腔ケアというのは普段私たちが行っている歯磨きとは違うものなのでしょうか?

そもそも口腔ケアには、器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの2種類があります。このことについては、拙著「Dr.ヒマダーの、I Care通信1」の中でも取り上げていますが、ここでもう一度確認しておきましょう。

1.器質的口腔ケア

器質的口腔ケアは口の中を清潔に保つためのケアのことで、この中にうがいや歯磨き、義歯や舌の清掃などの作業が入ります。口の中にある歯垢や食べかすを取り除くことが主たる行為ですが、口の中の汚れは歯だけでなく、歯茎や舌、頬の内側にもついていて、その中に多くの細菌が繁殖しています。この細菌の繁殖を防ぐことが歯周病や誤嚥性肺炎の予防につながります。つまり、器質的口腔ケアというものは、感染予防を意識した、より丁寧な行為を意味しているといえます。

2.機能的口腔ケア

機能的口腔ケアは口腔機能の維持や回復に向けたケアのことです。口腔機能とは、食べる、話す、表情をつくるなどの口の動きのことで、口の周りの筋肉や舌(これも筋肉ですが)を動かすことで口腔機能の低下を防ぎます。体の筋肉と同じように口の筋肉も鍛えなければ衰えてしまいます。器質的口腔ケアと並行して継続的に行うことが大切です。

ケア方法としては、口の中や口周りのマッサージ、飲み込む力を鍛えるトレーニングやリハビリなどがあります。

口腔ケアの実際の動画は、みんなの介護ちゃんねる(口腔ケア編、 https://www.minnanokaigo.com/channel/oral-care/)がとても参考になります。

Oral Credo(オーラルクレド)って初めて聞くんですが

 オーラルクレドなんて聞いたことがないけど、何のことだ? ほとんどの人がそう思っているのではないかな、と言ったら河村社長は怒るでしょうか?実は、オーラルクレドというのは、自社ホームページによれば「人間向け口腔ケア製品」の商品名です。そして、この商品を自社開発して販売しているesupport international(多分、イーサポート インターナショナルと読むのでしょう)という会社の社長が河村剛志氏です。会社の紹介はホームページ https://www.esupport-int.com/ に載っています。

 オーラルクレドとの出会いは、1年ほど前になります。このコロナウイルス感染症がすでに第4波に突入したというのに、今日までこの商品を紹介しなかったのには理由があります。

 最初に手にしたオーラルクレドはある筋から社長の厚意でいただいたものですが、「もともとオーラルケア商品として販売しているものなのですが、この商品を使った人はコロナウイルスに一人もかかっていないんです、インフルエンザウイルスには効くというデータを出していますが、どうやらコロナにも効くみたいです」という口上付きのものでした。一緒にいただいた資料にはすでに歯科で症例報告を出しているというものでした。この資料と、上述したクラスターの中でもオーラルクレドを使っていた人のみ感染しなかったという少数データと、何よりも説得力があったのは防衛大学で使われているらしいということが興味を引き起こしました。防衛大学といえば自衛隊、自衛隊といえばすぐに頭に浮かぶのは集団生活、特に海上自衛隊などでは自衛艦に乗船してしまえば完全な閉鎖空間での生活が続きます。万が一コロナの感染者が出たらクラスターになるのは必定とも言えます。もし、その自衛隊員たちの間にも口コミで広がっているとしたらこれ以上のエビデンスはない、そんな声がどこからか聞こえてきたのです。「そこまで可能性が認められるなら大々的に宣伝すべきではないのか。医薬品として登録するのはお金がかかりすぎるけど、健康食品扱いならすぐにでも販売できるし採算もとれるんじゃないか?」(もっと軟らかい口調ですが)と質問したところ、「自社の規模では、大量に製品化するだけの工場を持っていないので今はまだできない、一応、個人使用目的で購入を希望してくる人がいますがその時にはペットの口臭対策としても使えますので安心して使ってくださいと言って小売りしています、」というような回答でした。要するに、効果は確かだけど公言すると生産が追い付かなくなるからまだ公にしないでもらいたい、ということだと理解して、自分のところの職員にも口を閉ざしてきました。その後、昨年冬になって正式に細菌やウイルスに対する増殖抑制評価試験の結果を大学の研究室でまとめ、その報告書を後日コピーで送ってくださいました。残念ながらコロナウイルスを対象にした研究結果は(当然)出てきませんでしたが。

Oral Credo の正体は焼成カルシウムといわれるものです

 これは自社ホームページにも書かれているので企業秘密ではありません。焼成カルシウムとは、主に養殖される牡蛎やホタテまたは、ホッキ貝等の貝殻を1100℃以上の高温で焼成することによって得られる(主成分である炭酸カルシウム(CaCO3)から二酸化炭素を取り除く)天然の酸化カルシウム(CaO)です。注目すべきは、この貝殻焼成カルシウムの水溶液はPH 13前後の強アルカリ性電解質(アルカリイオン水)になり、殺菌および抗菌効果を発揮するのです。

オーラルクレドは、企業秘密とされる製造工程により安定した貝殻焼成カルシウム水溶液を生成しているのです。

最後に

 この原稿を書いているときに、河村社長から貴重な写真を送っていただきました。その写真を載せておきます。

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(左の雑誌に紹介されたオーラルクレド)

防衛大学に納入しているオーラルクレドは、特別に「防Ace」という商品名でパッケージもマニアックになっているようです。ここまでしているということは、自衛隊にも納入されている可能性が大ですね。

オーラルクレドは、歯周病予防および治療には有効とのデータはあります。細菌や真菌、ウイルスを対象にした培養検査の有効性についての報告もあります。が、今問題にしているコロナウイルスに対する有効性については今のところ言及されていません。今後も前向きな検討はされないかもしれません。後ろ向き調査で、有効だった可能性はあるという報告は上がるかもしれません。でも、それはあくまでも振り返ってみたら、という話です。

 あなたは、振り返ってみた時に、オーラルクレドを使っていた人になるのでしょうか、それともオーラルクレド未使用の人のグループに属しているのでしょうか。

 いずれを選択したとしても、とにかく、このコロナウイルスに負けずに生き抜こうではありませんか。

 追記:貝殻焼成カルシウム水溶液はpH13前後の強アルカリ性で殺菌・抗菌作用を発揮すると書きましたが、ここで紹介したオーラルクレドという商品自体のpHが13ということではありませんのでご注意ください。pH13の強アルカリイオン水は、清掃などの消毒用として使われるもので、直接触れたり飲用として使うことは危険とされます。 独自で調べたところでは、自社ホームページに類似の商品の紹介があり、その商品の説明にはpHは12.5と記載されています。おそらくオーラルクレドもpH12.5あたりに抑えているものと思われます。