見当識障害、理解・判断力の低下(認知症シリーズ -3-)

見当識障害
見当識障害は記憶障害と並んで早くから現れる症状です。
見当識とは、現在の月日や時刻、自分がどこにいるか、など基本的な状況を把握することをいいます。時間に関する見当識が薄らぐと、長時間待つとか、予定に合わせて準備することができなくなります。もう少し進むと、日付や季節、年次にまで感覚が薄れ、季節感の無い服装をしたり、自分の年が解らなくなります。
更に進行すると方向感覚が薄らぎ、近所で迷子になったり、夜、自宅のトイレの場所がわからなくなったりします。
過去に獲得した記憶を失うという症状まで進行すると、自分の年齢や人の生死に関わる記憶がなくなり、周囲の人との関係が分からなくなります。
何度も「今日は何日?」「ここはどこ?」と訊ねたり、80歳の人が、30代以降の記憶が薄れてしまい、50代の娘に対して姉さん、叔母さんなどと呼び家族を混乱させ、とっくに亡くなった母親に会いに遠く離れた故郷に歩いて帰ろうとするのも見当識障害によるものと考えられます」。
理解・判断力の低下
認知症のなると、ものを考えることにも障害がおこります。
考えるスピードが遅くなり、二つ以上の事柄を上手く処理できなくなります。些細な変化、いつもと違う出来事で混乱をきたしやすくなります。
観念的な事柄と、現実的、具体的な事柄が結びつかなくなり、「糖尿病だから食べすぎはいけない」とわかっているのに、目の前のおまんじゅうを食べてよいのか判断できない、「倹約は大事」と言いながら悪徳商法に引っかかる、などということが起こります。また、目に見えないメカニズムが理解できなくなるので、自動販売機や交通機関の自動改札、銀行のATMの前でまごまごしてしまいます。
ですが、必要な話はシンプルに表現し、時間をかけると自分なりの結論を出すこともできますし
、予想外の出来事が起こった時、補い守ってくれる人がいれば日常生活は継続できます。