周辺症状と対応(認知症シリーズ-6-)

不安・焦燥
認知症の初期の段階では、自分の物忘れや、生活上の失敗に気づき、その結果不安になります。(しまった、またやっちゃった、というような不安です。)
ある程度認知症が進行した段階においては、物忘れや、判断力の低下で、「どうしてよいか」「なにをすればよいか」という戸惑いから不安になります。(どうしたらいいかわからない、もうしたくない、というような不安です。)
この場合は、本人の混乱を避けるように工夫し、失敗する状況をさりげなく避けながら、毎日の生活を送れるように援助する事が必要となります。
「解らない」ということは不安です。
私達も道に迷ったり、周囲に知っている人が誰もいなければ不安です。
認知症の人は、このようなことが頻繁に起こります。
住み慣れた街であっても、家に帰れなくなったり、自分の良く知っている人が「知らない人」になってしまいます。
私達の不安には通常は対象が存在します。心配事(不安の元)が解決すると、不安は解消されます。
認知症の場合には、対象の無い、漠然とした不安も存在します。
つまるところ、認知症の人は、軽重を問わず、多くの不安の中で生活していると言えます。
原因の突き止められる不安や焦燥に関しては、根気よく説明したり、成功体験を多く得られ、自信を取り戻せるように、援助する事が大切です。
介護で対応できない不安や焦燥に関しては、抗精神薬が有効とされています。
しかし、薬物には副作用が見られる場合も有り、観察が重要となります。