認知症に対するリハビリテーション : 認知神経科学的根拠に基づくアプローチ(1)

タイトル:認知症に対するリハビリテーション
サブタイトル:認知神経科学的根拠に基づくアプローチ
※この記事は、平成26年末に加筆修正を行い、さらに内容を一部変更して、理学療法ジャーナル(医学書院)第49巻第4号(H27刊)に掲載されました。
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1551200184
はじめに
認知症(老人も若年者も含めて)の人におこなわれる専門的なリハビリテーションとはどんなものなのか、すでに確立されたものがあるのかどうか、・・・実は筆者はよく知りません。医療の現場では積極的な認知症のリハビリテーションは行われていないし、福祉の現場では、それぞれの施設がユニークな取り組みを行っています。たとえば、回想法がよいとか、音楽療法がよいとか、いうように。
そうした努力の中で、高度の認知症の人にリハビリは必要ないという意見も見られる一方、「ぼけても心は生きている」と強調する意見もあります。
こんな手探り状態ではありますが、現場ではそれなりに効果が見られているようです。
では、認知症のリハビリを考えるとき、どのような考え方が必要なのでしょうか?何を根拠にどのようなリハビリを導入したらよいのでしょうか?
ここでは、認知神経科学の分野で分かってきた知見を基に、専門用語にこだわらずわかりやすく、独断と偏見を交えて考えてみることにします。